幸せはお金で買える? 800万円の壁
生きることにお金がまつわる現代社会。お金があればたいていのものは買えます。
医療の選択肢が広がったり、ふだんから体にいい食事ができたりといった意味では、命や健康さえも買える(こともある)と言えるでしょう。同様に、容姿や若さもある程度は手に入ります。
では、幸せはどうでしょう? お金で買えるのでしょうか?
お金さえあれば—
お金(とステイタス)がある男性が、けっこうな年齢になっても若くて美しい女性をめとったり、恋人(愛人)にしたりする図式は、昔はよくあったし、今もけっこうあります(最近は逆もありますが)。それを見ていると、お金は人の気持ちも買えるんだなぁと思えることも。
しかし本当に愛情を得ているのかというと、それはわかりません。
いい生活をさせてくれることに対して愛情を持てる、という人も存在することは確かですが、だからといって心底相手を好きになれるかというと、それはまた別の話ではないでしょうか。
幸福・満足度のピーク
米国の研究で、幸福度は年収とともに上がっていくが、ずっと上がり続けるわけではなく、7万5000ドルをピークにほとんど上昇しなくなる、という結果があります。7万5000ドルは日本円にすると、為替の状況によりますが、およそ800~1000万円です。
また日本では、内閣府「満足度・生活の質に関する調査」の中で、総合主観的な満足度は世帯年収2000~3000万で頭打ちとなり、あとはゆるやかに下落する傾向にあることが報告されています。
必要なものを買える、ほしいものを買える、いくらでも買える・・・というように収入と比例して上昇していく幸福度も、一定のラインを越えると上がらなくなるのはなぜでしょうか?
幸せ感覚はマヒする
ひとつは「慣れ」が考えられます。ほしいものが手に入るのがふつうになってしまうと、それほど幸福は感じなくなります。感覚がマヒするという言い方もできるしょう。
一方で、お金では手に入らないものが見えてくるのではないでしょうか。
小さな喜びとでもいうか、貯金してほしいものを手に入れる、頑張ったご褒美にたまの贅沢を味わうといったこともそうでしょう。
そして、いくらお金を積もうと買えない最たるものは、やはり人の気持ち、想い、心ではないかと思います。
周りにたくさんの人がいても、家族やパートナーがいても、心があるとは限りません。
結局、お金がなくてもあっても、意のままにならないのが人の心です。
多様化する幸せのカタチ
令和の時代、世の中も、価値観も大きく変わっています。
先日、20代後半の新婚夫婦に「人生で何が一番大事?」と聞いたら、返ってきたのは「自然体で楽しく生きられること」という答えでした。
自然体というのも楽しいと思う状態も、人それぞれでしょうが、少なくとも無理をしたり、何かを犠牲にしたりして、経済的ないわゆるいい暮らしを手に入れることに魅力を感じなくなっていることが伝わってきました。
また、多様性が叫ばれ、一定の年齢で男と女が結婚して子育するといった、ステレオタイプの幸せだけが幸せではないと考えられるように、少しずつですが認められるようになっています。
お金だけでは手に入れることができない、自分にとっての自然体の幸せを見つけ、しっかりつかみたいものです。
ライタープロフィール
- 積み重ねてきた経験から、失敗もたくさんしながら、見えてきたことがあります。恋に、愛に、悩める皆さまの幸せを心より応援します。
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