エヴァンゲリオンから学ぶ!庵野秀明監督の描く男女観

エヴァンゲリオンから学ぶ!庵野秀明監督の描く男女観

 みなさんはアニメ作品エヴァンゲリオンをご存知でしょうか?テレビアニメから旧劇場版、新劇場版と合わせると26年もの長きに渡り社会現象を起こしたアニメーションであり、現在でも人気を誇る作品であります。


 この作品の特徴として、庵野秀明監督の人生観が色濃く反映されている事です。そして難解で謎多き世界観から、見る人それぞれの解釈ができる作品となっています。それに加えて、製作スタッフに男性が多く携わっていますが、女性キャラクターが多い事や、精神描写が非常にリアルという事です。男性が描く女性像や女性が描く男性像は、多少偏りが出る事も少なくありませんが、キャラクター設定までもが緻密なのです。このような製作スタッフの完璧とも言えるこだわりが、作品最大の特徴なのでしょう。


 今回は、エヴァンゲリオンから学ぶ男女の恋愛観・家族観を考察し、男女での考え方の違いを学んでいこうと思います。

 

女性は出産を経て母親になる。男性は状況を受け入れて父親になる。


【要約】
 物語はネグレクトの父親ゲンドウと、親の愛情を知らない息子シンジを取り巻く環境を中心に展開していきます。ゲンドウには息子がいながら、仕事以外で会う事は無く、シンジもゲンドウと近づくという事をしませんでした。なぜならば、シンジとゲンドウは複雑な状況(父子関係や周りの環境)を受け入れられない過去があったからなのでした。


 女性のキャラクターの中では、シンジが幼少期に亡くなってしまった母親ユイ、少年となったシンジの身元を預かるミサトが登場します。ユイは既に亡くなってしまったと思われたのですが、シンジを近くでずっと見守っていたのです。ミサトは自身が母になる前はシンジとコミュニケーションが噛み合いませんでした。しかし母となり、シンジと信頼し合える関係性へと成長する事が出来たのです。


【考察】
 男性は自立を意識する機会が女性に比べると少ないと考えます。それは、思春期以降の身体の変化が女性に比べると少ないからです。なので、能動的に変化を受け入れられなければ、肉体は大人であっても精神は子供である事があります。物語中では、自立の機会を逃してしまった男親と和解したい息子間にしか分かり得ないような、胸の内の世界観が表現されている箇所が随所にみられます。


 対して女性は思春期以降、出産をすることに向かって生きていきます。初経もあれば閉経もあります。個人差はもちろんありますが、他者との結びつきの中で変化を受け入れざるを得ないのです。そうした機会が人間を自立させ、親にしてゆくのでしょう。

 

女性は、自立する事で母性を得る。男性は、女性の中の母性に居場所を感じる。


【要約】
 シンジがシンエヴァンゲリオンにて最後に居場所として選んだ人物は、身体的にも精神的にも未成熟なアスカやレイでは無く、胸の大きく精神的に自立しているマリだったのです。


【考察】
 物語中での女性キャラクターは全て空母の名前からきています。軍艦好きな庵野氏らしい発想でもあるのですが、実は空母は“女性”である事をご存知でしょうか?乗り物に性別‥と思われるかもしれません。諸説ありますが、空母は航空機が帰る場所、すなわち女性なのです。そして、航空機は男性となります。男性はいつも帰る場所が必要です。そして、女性には自分を迎え入れてくれるような居場所であって欲しいのです。


 日本でも戦時中に、若き日本兵が「お母さん!」と叫び特攻していったという話があります。男性にとっては、母親という存在は特別なのでしょう。そして、女性の中に居場所としての資質(母性)を求めてしまう事は本能の内なのでしょう。なので男性が女性を奥様候補として選ぶ時には、家の掃除は行き届いているか?料理は美味しいか?など、住環境に関するチェックが必須になるのかもしれません。


 また、シンジが最後に選んだマリというキャラクターのモデルとなったのは、庵野氏の奥様なのだとか。とても素敵なお話です。

 

まとめ

 冒頭にも記したように、エヴァンゲリオンという作品は非常に難解です。しかし、あらすじをざっくりまとめてしまえば“地球を巻き込んだ親子喧嘩”といった内容です。因みに海外の作品、映画スターウォーズは“宇宙を巻き込んだ親子喧嘩”と何処かで耳にした事があります。それほど、男性は喧嘩が好きで、喧嘩無しには前進が困難なのでしょう。

 物語中には男女共通の感情というものも沢山ありますし、思春期〜青年期頃にかけて悩む心の葛藤というものもあります。しかし、少なくとも女性が男性には感じないような感情というものもあります。そのような違いを認める事で、はじめて“相補性のある世界”が叶っていくのではないでしょうか。


 物語中では、個性豊かな女性キャラクターの活躍が物語の解決への鍵を握っています。そんな女性にリスペクトがある作品を作る事ができるのは、庵野氏自身が愛妻家である事の現れなのかもしれません。我々女性も、男性へのリスペクトを大切にしながら日々の生活を営んでいきたいものです。

ライタープロフィール
ちゃんくま
ちゃんくま
音楽や心理学や絵を描く事が大好き。
歌って悟れるイラストレーターになりたいな…と思っているいい大人です。

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