【LGBTの方の気持ちがうまく伝わらないのは承認欲求が関係している】
LGBTの方たちのなかには、承認欲求の強い方がとても多くいます。
親が多様な価値観を持ち、どんな特徴を持っていても、個性として比較的自由に育てられた方は、素直な自分を表現し、のびのびと育っていきます。
しかし、「男は男らしく」「女は女らしく」という固定概念を強く持っている親に、型にはめられた生き方を要求されて育ったLGBTの方たちは、なかなか自分の正直な気持ちを表現していけないものです。
そいった方たちには、自分の気持ちをわかってもらいたい、自分の考え方や生き方を認めてもらいたいという承認欲求が強くなっていきます。
LGBT非当事者の方と話をしていて、自分は普通に自分のことを話しているに「どうしてそんなにわかってもらわないといけないの?」と言われることがあります。
また、LGBTに関して差別意識がほとんどない方でも「あなたはあなたのままで素敵なんだからそんなに理解を求めなくてもいいじゃない?」ともよく言われます。
実際、それはもっともな話です。
しかし、過去に、ひとと違うところをまわりからはじかれたり嫌われるのを怖れてなかなか自分の気持ちを言えない環境に置かれることが多いLGBTの方たちは、ひとと違う違和感について話すことだけでもとても勇気が要るものです。
そうしてまたそのまま自分の気持ちを押し殺していくことがとても多いのです。
そうなると大切な人や大好きな人にだけは、ほかの人にはなかなか言えない気持ちをわかってもらいたい、認めてもらいたいという承認欲求が強くなってしまいます。
そしてそれは、意識して理解を求めていなくても、無意識の作用として言葉のはしばしや表情に現れてしまいます。
その結果、自分のことばかりわかってもらおうとしていることばかりが相手に伝わり、相手は自分の話を聞いてもらっていない印象が残ってしまうわけです。
【承認欲求の強い人は自己承認ができていない】
ボクの知る限り、世界各国でLGBTのスピーカーになっている著名人の多くは、親が子どものLGBTに早くから気づき、多様性を受け入れて自由に育てられた人が圧倒的に多いように思います。
理解しない人が周りにどんなにいようと、親が自分を理解してくれて、ときには守ってくれるので、安心してありのままの自分でいられるからだと思います。
実際、ボクも末っ子の長男なので、結婚して家庭を持って欲しいという親の希望を嫌というほど聞いてきました。
そのせいで、自分が同性愛者であることばかりでなく、学校や職場で生きづらい思いをしていることも家族にはまったく言えませんでした。
今思うと、承認欲求がものすごく強かったように思います。
「親の希望に添えない」ということは、その事実だけにとどまらず、自分は「親の希望に添えないダメな人間」「親の希望に添えない親不孝者」というレッテルを自分に貼ることになり、ますます自分に自信がなくなっていきます。
そうしてさらに承認欲求の強い人になっていくという悪循環を生みます。
しかし、自分のしたい生き方と親が望む生き方が違うということは、別にいけないことでもなんでもなく、それぞれ尊重されるべきだということは容易にわかることですよね。
「ダメな人間」「親不孝者」というレッテルを貼る必要などまったくないのです。
そして、実はそのレッテルを貼っているのはほかの誰でもない自分自身だということに気づく必要があります。
LGBT当事者自身がLGBTであることに嫌悪しているうちは残念ながらこのレッテルを剥がすことはできないし、自尊心を回復することも難しいと思います。
LGBTであることは何もいけないことではいということをちゃんと理解し、自分が自分のままであっていいと思えるようになると、必要以上に他者に承認欲求を持つことは少なくなるのです。
【どうしたら「ありのままの自分」でいることを「自己承認」できるか】
では、どうしたら、「ありのままの自分」でいることを「自己承認」できるのでしょうか。実はそれは簡単なポイントやコツがあるわけではなく、とても難しいことです。
なかなか簡単にできるようにはなりません。
ボクがどうして自分を受け入れていったか。
ボクは自分が同性愛者であることは早くから気づいていましたが、まさに「親の希望に添えないダメな人間」「親の希望に添えない親不孝者」というレッテルを自分に貼っていました。
もちろん、承認欲求もすごく強かったと思います。
いちばんどん底だったのはうつを患っていたときに、
「神様は、アダムとイブという性欲を持った男と女というものを作り、子孫が繁栄するように人間という動物を作った。ボクは神様の意図からも外れた生きる価値のない人間だ」
と思うようになりました。
自分を取り戻すために心理学を学び始めましたが、あるとき、
「人が人を好きになるのに男も女も関係ない」
という言葉が降って湧いてきました。
「視点を変えてみる」「見方を変えてみる」という発想が功を奏したわけです。
「結婚や家庭を持つこと」「子どもや子孫を作ること」の視点だけで見ていると、LGBTは行きづらくなります。
しかし「結婚や家庭を持つこと」「子どもや子孫を作ること」だけが幸せになる方法でしょうか。
そんなことはないとあなたもうすうす感じているはずです。
「好きになるということ」「愛するということ」の意味に性別は関係ないはずです。
あなたは悪くないのです。
人から変だと言われる筋合いもないのです。
好きなものは好き、嫌いなものは嫌い、それでいいのです。
もし、自己承認にポイントやコツがあるとしたら、それは常に、「あなたがあなたであることに悪いことなど何もない」ということをしっかり認識することかもしれません。
今日のまとめ
・LGBTの方は承認欲求が強い傾向がある。
なかなか自分の本音を曝け出しにくい環境にあった方は承認欲求が強くあります。
それはLGBTに限ったことではなく、親にわかってもらえなかったと思っている方には同じ傾向が見られます。
・自分の承認欲求に気づく。
自分に認めてもらいたい気持ちやわかってもらいたい感情に気づくことはとても大切。
承認欲求が強いということは他者承認欲求が強いということ。
でも実は、自己承認ができていれば、他者への承認欲求は少なくなります。
・自己承認は視点や見方を変えることで受け入れやすくなる。
自己承認には、まず自分自身が認めてもらいたい気持ちやわかってもらいたい感情を受け止め、それを持っていることが悪いことではないと知ることが大切です。
あなたは何も悪くないのです。
あなたも一度自分の承認欲求について考えてみてくださいね。
ライタープロフィール
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マイノリティのパイオニア「豆腐」です。
LGBTのためのカウンセリングをしています。
NPO法人コアカウンセリング支援協会認定1級コア心理カウンセラー・同認定コアインストラクター・国家資格キャリアコンサルタント・コーチングスクエア認定ライフコーチ。
こちらでは、心理学的視点から、発信をしていきます。
http://www.torff-sessionroom.com/link.php
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