優しい嘘

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お悩み

事実よりも大切なのは何?

学生時代、明るくて快活なAさんと親しくなり、映画を見るのも、山登りや、ドライブに行くのも一緒という日々を送っていました。
4歳年下だった私には、頼もしい兄のような恋人でした。

Aさんの親友が彼より1年年下のB君です。風貌は勿論、趣味や性格も全く似てないふたりですが相性が合うのか、いつも連れだって現れ、仲のよい兄弟のように心底信頼しあっているという感じでした。

Aさんと会う時はなぜかB君も一緒で、3人でデートと言うのも変ですが、違和感は不思議となく、いつも3人でよく食べ、よく笑い、はしゃぎ合って、この上もなく楽しい時を過ごしました。

私はどちらかというと無口なAさんより、学生っぽいB君と気があって、B君と話に熱中になり、気が付くとAさんは居眠りしていたなどということもよくありました。

そのAさんが「頑張ってくるネ!」といって、社会人になって渡米した時も、B君と私は一緒に見送り、食事をして帰りました。

その後も、B君とは連日のようによく会い、彼が編集してくれたCDや、勧めてくれる本などを介し、B君からは専門的な学業の他にも色々なことを教えてもらいました。ですから、ふたりが恋愛関係におちたのも自然な成り行きでした。
当時B君には他にも女友達もいましたが、私達はまるで双子のようにお互いを判り合えたので、嫉妬することさえありませんでした。

ソウルメイトという言葉がありますが、男女を越えた感覚で繋がっていたように思います。

 

 

二人とも大好き、二人とも愛してる。

2年間の研修期間を終えて、Aさんが帰国した後も、再び3人一緒のデートは続きました。気まずい雰囲気もなく、やっぱり「3人は楽しい」とさえ思いました。
事情が変わったのは、Aさんが私に正式にプロポーズをしてきた後です。

Aさんは、経済力もあり頼もしく、私にとっては初じめての人であり、なにより私に優しく、ご両親も大歓迎で、断る理由などない状態でした。

 

ただ、「Aはもう気づいてるよ」といったのはB君の方です。
「打ち明けようよ」「苦しいよ」とB君から告げられましたが、私達を信じきっているAさんを見ていると、私はそんなはずはないと確信していました。

一方、Aさんからは、結婚前に隠し事はい嫌だからと、以前に自分の付き合ってきた女性や恋愛歴などをうちあけられました。Aさんは、全部いままでの自分を私に知ってもらったうえで、一からスタートを切りたいというのです。

「貴女は学生時代の初めから付き合っているから、他の人とは何もないよね。僕が渡米してる間も、何もなかったよね」と安心しきったように私を見据えるのです。

 

しばらくしてB君は、私にも相談なく就職を理由に他府県に移動してしまいました。

時々「元気にしてる?」などメールは来ますし。Aさんにも近況報告しているようなので、離れていても3人の間は以前と何も変わらないように過ぎていっています。はっきりしているのはB君はAさんに私のことを、決して言うような人ではないことです。

AさんもB君も二人とも、とても私にとってはかけがえのない人間で、二人とも全く違った形ではありますが、深く愛していました。

ただ、私の中で「結婚」という概念が育っていなかっただけで、「結婚」するならやっぱり平凡でも社会的に安定なAさんしか考えられません。

 

このまま、Aさんに何も言わず、嫁いでいっていいのでしょうか?

 

 

Counselor's Advice

愛することは不可避な現実。傷つけないのは愛の義務。

男性は、所有力・独占欲の強い生き物ですから、自分の妻になる人のことを、全部知っていたいと思うようです。

Aさんのように、自分の過去まで全部告白したいと思うのは、たぶん自分の事を貴女にすべて知ってもらい、より親密につながりたいという欲求の現れでしょう。
さらに貴女は男性遍歴がなく、たとえ貴女に何を言われたようとも、自分の愛は変わらないという自信もあったのでしょう。

Aさんにとって、貴女は初めから自分の妻にしたい存在だったのかもしれません。それがやっとここにきて、社会的に安定し、結婚してもやっていける自信もできて、自分の意思を伝える覚悟ができたのでしょう。

 

同時にB君もAさんも、生涯をかけて分かり合え、信頼しあえる友人同士であり、お互いの人生にとってかけがえのない存在だと思います。

この先も、彼らなら仕事や環境がそれぞれ違った道を進んだとしても、その絆は強く、年を重ねてても枯れることなく続く貴重な財産となりえるでしょう。

 

そこに貴女という全く異分子的な存在が介入してしまったわけです。

でも、恋は、まさしく予期せずおきるもの。
フォールインラブ・・・落ちてしまったものは仕方がありません。

 

貴女もB君も、ふたりだけの世界にいるときは、Aさんを裏切っているという感覚さえなかったかもしれません。

でも、B君にとって、婚約者とは聞かされていないまでも、貴女はやはりAさんの恋人です。
Aさんが帰国して、貴女に正式にプロポーズしたとなると、B君の中には、うしろめたさや、取り返しのつかない後悔の念が沸き起こってきたのでしょう。

ふたりの前から姿を消したのは、B君の決断です。

取り残されたと思うかもしれませんが、それがB君の決断です。

さて、貴女の決断はどうなのでしょう。

誠実なAさんにならって、自分もB君との恋愛を伝えた方がいいのか、それとも一生、自分の心の底にしまっておいた方がいいのか、きっと貴女も悩んでおられるのでしょう。

 

B君との恋愛をAさんに言ってしまえば、貴女は本当に楽になるのでしょうか?

貴女とAさんには「新しい家庭」が待っているように、AさんとB君にもこれから長い人生が待っています。

何十年というスタンスで考えてみると、心を許しあった人間同士というのは、長い人生に一握りできるかどうか、巡り合えるかどうかの貴重な存在です。

 

こんな言い方は誤解を招くかもしれませんが、恋愛という情熱や熱情は、基本的に同じテンションで長く持続できるものではありません。

その一番ピークの恋のおいしさを貴女はB君と共有しました。

 

またAさんとは、伴侶・嫁・母として、決して激しい恋情はなくとも、これからかわりゆく状況の中で運命を共にしていくことになる相手です。

そんな3人の状況のなかで、貴女がB君との恋をAさんに打ち明ければ、素晴らしかった3人の「あの時」は音を立てて無残にこわれてしまいます。

 

真実を伝えるほうが、スッキリできて貴女自身はかえって楽になるかもしれませんが、スッキリ楽になるのは貴女だけの問題かもしれません。

 

事実を聞かされたAさんの人生はどうなるでしょう。
Aさんは、貴女もB君の事も何一つ疑わずここまでやってきたのです。
貴女の一言でAさんは不信感で打ちのめされ、猜疑心が人間関係の基盤に根付き、これから疑わなくてもいいことまで、疑ってかかるような人生を生きていくようになるかもしれません。

 

B君とのことは貴女が一生死ぬまで、墓場までもっていくべきことでしょう。

 

正しいか間違っているかでなく、いかに人を傷つけずに生きていけるかのほうが、時に、人生には大切なのではないかと思います。

 

3人が、それぞれの人生の岐路にたって本当の暗闇のなかでもがく時、楽しかった学生時代のあの頃の思い出が、一路の光を与えてくれるかもしれません。

 

過去は変えれなくても、純真な気持ちさえあれば、思い出は一生輝くものです。

 

そういう思い出があれば、どんな時でも人は立ち上がることができるものだと思うのです。

ライタープロフィール
占い師 朱龍
占い師 朱龍
人には聞こえない音・人声を見聞きし不思議な出来事を数多く経験する中で陰陽道・密教などを学ぶことにより感性を研ぎ澄ませてきた先生です。
過去にうけた心の傷やトラウマに寄り添いながら、大きな愛で相談者を包み込み、知らないうちに凝り固まってしまった心を優しく解きほぐしていきます。
ひとつひとつ丹念に難問の糸を解き、心のバランスを組み立てなおし、相談者の魂の本質へと近づける環境づくりを致します。
一緒に辛い過去を乗り越えていきましょう。

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